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「相姦獣夜」 田沼淳一/フランス書院文庫
アンソロからの再録作品2本についても追記。 「嫉妬される母」 再婚により父親を奪われたと感じた娘が義母と義弟を姦計にはめて性的に堕とすという内容。息子だと知らせず目隠しで関係を持たせて妊娠に追い込んだり、息子の方にも実母への思慕を強める手立てを踏んでいたりという流れがなんとも田沼淳一らしい。 後で書かれた「淫姦」のプロトタイプ的な位置づけだろう。同様のパターンで今回の短編集の作品も今後何らかの形で長く読めるかもしれないと期待はできる。 アンソロジー収録版と比べると、少年がより能動的になっている気がする。 そしてラスト数行。これでアンソロジー版とはまったく違う作品に転じている。どちらが良いかは好みだけど、内容からすると元のほうが首尾一貫しているかもしれない。「嫉妬される母」から「淫姦」になったのだとすると、「淫姦」の展開をフィードバックしてラストが変わったと言えるかもしれない。 「若叔母・美保」 憧れの叔母と再会して結ばれるという流れは「再会した従姉」に似てるかもしれないけど、真正面から甘く描いている。アンソロジーで読んだ時は本当に田沼作品なのか疑ったくらい異質だったが、今の作品傾向を反映してさらに甘々になっているような気がする。ずっと年上の叔母が何とも可愛い。 仮面結婚とかはよく考えると酷いけど。 アンソロジー版と細かく読み比べるといろいろと面白そうな気はする。 総じて相姦ではあってもあまり獣夜という感じではなかった。ヒロイン群はけっこう多彩で、基本的には1対1の関係で話は進むし、程度の差はあれ、どれも濃厚でエロく良い作品が揃っている。満足感は大きい作品集だった。 ただ、これを読んで田沼淳一を気に入って長編に手を出したらちょっとびっくりするかもしれない。 |