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「不誠実な現実」柏木薫
「不誠実な現実」 柏木薫
(「奪われた妻」/フランス書院文庫 収録)


 寝取られもののアンソロジーかと思ったら、寝取る側からの話もあった。客体の妻を置いてどちらの視点を主体として見るかで裏表が変わる訳なのか。今回の短編については寝取られる側からのお話ではあるが、単に片思いしているだけなので人によっては定義が分かれるところかもしれない。

 お話としては前の短編「僕だけの年上女課長」と流れは似ている。
 主人公が密かに恋心を抱いている娘と仲を深めるべく行動に出ようとしていたものの、その矢先に他の男にあっさり奪われ、痴態を目の当たりにしてしまい幻滅させられるといった展開。
 今回は予想外のところで遭遇ではなく、前もって別の女の子からヒロインの本性について知らされた上で、行きずりの男とあっさり関係を持つ一部始終を見るのが少し変化かある気がする。前回の女上司のような存在はなく、最後でちょっと別の救いの手が入る程度。この続きを読みたい気もする。

 ヒロインの牝犬ぶりなところがあまりに強くて、少々寝取られ感は薄いかもしれない。
 主人公の言葉でなく、地の文だが「ただの尻軽女。あばずれ。性処理用肉便器。くそビッチ」などと酷く罵られているくらいだし。
 ラストで高校時代からの付き合いの少女と関係を持ちそうな描写になっているが、もう少し長い話だとそのまま何事もなく終わるのでなく、失望したはずの少女ともまた近しくなったりとドロドロ展開になったりもするのだろうと思う。
 それと、主人公に好意を抱いていた少女が、邪魔な恋敵を排除する為に何も知らない箱入り娘だったヒロインを男漁りが激しいビッチに堕とすべく画策をしていたとか、そういう事実が明らかになったりとか。妙に詳しすぎるのが少し目に付いた。

 しかし、ヒロインはただの女子大生で全然「奪われた妻」でないんだが、よかったのだろうか。

        

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【2009/02/16 21:21】 | 柏木薫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「僕だけの年上女課長」柏木薫
「僕だけの年上女課長」 柏木薫
(「【金曜日21時】オフィス熟女」/フランス書院文庫 収録)


 アンソロジーを手にとってみたら、柏木薫が書いていたので読んでみた。「熟女授業」で実質短編形式で書いているし適任だなと感じたのだが、いざ読んでみると処女作「妻交換」要素とのハイブリッド的な作品で驚いた。

 主人公は三流大出の会社員で上司である女課長にしょっちゅう叱責されている。その女課長は厳しいのだが美人でスタイルも良いとなると、ヒロインとしてオフイスで関係を持つのだろうと当然予想するし、それは裏切らないのだが、全体の半分弱のボリューム。
 別に主人公が憧れている同僚の女子社員がいて、彼女の話が残り半分を占めている。冒頭で彼女をデートに誘うのに成功するのだが、資料室で別の男に抱きしめられているのを見かけてしまう。彼女から男にキスをせがんだり、どんどん行為がエスカレートしていくのをただ覗いているしかないという展開。
 熟女アンソロジーの一編としてはメインはあくまで後半の女課長とのあれこれなんだろうけど、力が入っているのは同僚の娘のように感じる。

 次には何を書くのか楽しみではあるのだけど、今のところこれが柏木薫が書いた最後のようで、音沙汰がないのが残念。
 
        

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【2008/09/30 02:39】 | 柏木薫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「熟女授業 叔母と未亡人と淫妻」柏木薫
「熟女授業 叔母と未亡人と淫妻」 柏木薫/フランス書院文庫

 同一主人公での長編だが、、大きく分けて三つのパートになっている。それが中学生、高校生、大学生の時の話になっていて、トータルで長い年月を経ているのが、エロ小説としては珍しい。ただ、それぞれのパートはあまり有機的に話の上でのつながりを持ってはいないので、実質三本の中編集みたいなものになっている。

 中学生時代の話は、童貞喰いのお姉様から主人公が逃げ出してしまうというシーンから始まる。普通なら何だそれはと思うところだが、友達とお姉さまの姿を覗いて怖くなったくだりとか「妻交換」を思うと妙な期待感を掻きたてる。
 だが、その後で三十代の未亡人と知り合い、部屋に招かれてあっさりと童貞喪失をしてしまう。一回だけの夢のような経験とかでなく、その後も何度も関係を続けるという酷い期待外れな展開。いや、ひね曲がった期待をしたのがおかしいので、まっとう読むなら筆おろしのお話として良作。汗ばんだ柔らかい胸と乳首を甘い匂いと共に吸うところの描写とか巧いと思う。
 
 しかし高校生になると引っ越しにより、この未亡人とのねっとり関係はあっさりと終了している。次のお相手は近くのマンションに住む31歳の人妻。望遠鏡で自慰行為に耽る姿を見てしまったのをきっかけに部屋に呼ばれる。ここの望遠鏡で覗くという行為がこれまた前作の「妻交換」を連想させる。
 で、欲求不満状態の彼女に攻められ、ずるずると関係を続ける事になるが、わざと夫がいるのに呼ばれる展開とかなかなか。基本的に攻め好きの彼女を主人公が翻弄して、逆にじらしたりしながら今までの浮気体験を告白させるところとかぞくぞくとする。

 最後のパートでは主人公は就職活動で焦る大学生になっている。人妻とは関係が切れているようだが、特にその辺の記述はまったくなし。
 未亡人、淫妻と来たから、最後は叔母だなと思っていると、その予想をさっとかわすように隠しキャラが登場。就職の相談に叔母が教鞭をとる大学へ行った時に紹介された2歳ほど年上な修士課の眼鏡美女で、けっこう魅力的。彼氏はいたがセックスにはあまり慣れていないらしいところとか。自分は主人公の肉棒にためらわずに舌を這わせるのに、お返しをしようとするとシャワーも浴びず汚いのにと恥ずかしがるところの描写が良かった。
 本来、前座的な位置づけの彼女が良かったので、次の正ヒロインたる叔母が少し食われてしまった感じ。タイプも似ているし。

 叔母からは前から好きだったのと告白受け、結ばれて、最後は年齢差とか叔母・甥の関係とかを思い悩みつつも、一緒にいたいみたいな感じで終わり。
 綺麗にまとめているけど、大学生パートのボリュームの関係でちょっと駆け足展開。寄り道なしで叔母だけに特化した方がバランスは良かったと思う。あるいは序盤の方で叔母を出して、主人公も昔から憧れていたみたいな伏線を張っておけば良かったと思う。そうすれば叔母登場時に満を持して登場した最終目標みたいな風情も出た気がする。何だか唐突に出て来た感が否めない。
 関係した四人で言えば、高校時代の人妻が一番ボリュームがあって、最初の一回だけでなく、テレフォンセックスしたり夫の寝ているところでなじるプレイしたりといろいろと描かれていて、叔母とは本当に最後に少しだけ。
 
 全編を見ると正直、作中での時間経過にはあまり意味があったようには思えない。中学生と大学生での違いみたいなものもないし。それぞれ別な主人公の別な話の方がすっきりしたと思う。それぞれのお話自体は、どれも良く出来ていて、さりげない記述や描写がエロさを醸し出しているところは非凡だと思う。 
 傾向は違うものの「妻交換」も本作の2作を読むとレベル高いものを書く人だと判断できるのだけど、今のところ2冊書いただけで筆を絶ってしまっているのがひじょうに勿体ない。3冊目を出すのならどんな話になるのかは楽しみなので、いつの日にかひょっこりと新刊が出るのを期待する。

        

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【2008/07/10 06:56】 | 柏木薫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「妻交換【のぞく夫】」柏木薫
「妻交換【のぞく夫】」 柏木薫/フランス書院文庫

 寝取られ物としては非常にレベルが高いと思うが、ヒロインにあまり魅力が感じられない。少なくとも主人公の思い入れに同調できるほどの存在ではないというか、正直に言ってビッチすぎる。むしろそれが良いんだという意見もあるだろうが。とりあえず寝取られがダメな人は絶対近づかない方が良いと思う。

 以下をだーっと書いてから読み返してみて、だらだらと最後に至るまでの話の流れを書いているので少しは削ったりぼかした方が良いかとも思ったが、寝取られがダメな人は読まずに飛ばすし、属性ある人なら「これから読むかもしれない本を他の男に先に全て暴かれていく寝取られ感覚」に文句はないだろうから、そのままに。
 
 冒頭、主人公夫妻が、立場が上らしい夫婦の玩具のようにされているシーンからスタート。妻が、夫が別の人間と交わっているのを見たり見られる事を喜んではいない様子。で、何事かと思わせておいて、夫=主人公が大学に入った頃へと時間軸が過去へ戻る。
 インパクトはあるのだろうが、正直無くても良かったと感じる。ヒロインと主人口が夫婦になるのを早々にバラしているのは失敗とすら思う。これが無いとかなり終盤まで「妻交換」にならないから置いているのかもしれないが。

 主人公とヒロインは高校の頃から知り合いだが、男子校と女子校で学校は別。主人公はヒロインに憧れていたが、寝取られ物の主人公らしく告白も何もできず、一方的な片思いをしているだけだった。恋慕だけでなく神聖視すらしていて、それが前半はともかく後半の事態への一因にはなっているのかもしれない。
 同じ大学に進んだのを機に何とかしたいと思っていたところに、ふっと現れた主人公の友達に合コンでお持ち帰りされてあっさりと食べられてしまう。別にその友達としては主人公の片思いなど知らないし、別段悪気は無いのだろう。しかし、主人公からすれば処女だったのを中出ししたと聞かされたり、携帯の写真を見せられたりという絶望展開。その後も、二人で大学構内での露出行為や誰もいない教室でやったりと行為をエスカレートさせているのを知らされ、なおかつ話だけでなく写真に撮っているのを見せられたりする。
 挙句、少しマンネリ化しているので新たな刺激にと、主人公の部屋からヒロインの部屋を覗くように頼まれ、彼女の部屋に仕掛けた盗聴器の受信機を渡される。この辺、女も見られているのを知っているとかならともかく男だけが知っていて面白いものなのだろうか。わかるようなわからないような。
 このくだりは全編通しての白眉かもしれない。写真とかはあるにしてもあくまで友達の話だけだったものを、実際に見聞きするというのはインパクトがある。あくまで間接的で、実際には手の届かない所にいるというのもむしろ効果的。
 ここで憧れの少女が恋人として無邪気にキスや挿入をおねだりしたり、積極的に彼氏のを唇に咥えたりしているのが、無理やり体を奪われているとか以上にダメージを与えている。
 彼女からキスをせがんでいるのに友達がすかしたり、彼女から愛撫してペニスを出させているのをまだ全然勃起すらしてないでニヤニヤしてるのにショックを受けたりと、細かな描写は実に巧み。

 その後、友達から恋人気取りのヒロインがうざったくもなって来てので、別れて主人公に譲るみたいな申し出はあるが断わる展開に。ここで素直に頷いていればと思わなくもない。 
 ここまではヒロインには特に問題ない。他人から見て何だかなあと思う事も、彼女にとってはあくまで普通の恋愛の中での行為であって他人からとやかく言われる筋合いはない。
 しかし、恋人との関係が危うくなった頃に第三の男が登場。ロマンスグレーの大学教授で、何人もの女生徒に手を出したと知られているのだが、偶然飲み屋でヒロインと出会って、またたく間にたらしこんでヒロインの部屋に上がりこんでしまう。で、言葉巧みに彼女をものにしてしまう。主人公は望遠鏡と盗聴器という武器があった為に、その様子を見聞きしてしまう。
 しかし教授とは一回きりでなく愛人同然になってしまうのが不可解。金も権力もあり男として魅力的なんだろうけど。この時点でヒロインに対しての見方が変わってくる。友達に捨てられた後ならまだわかるが、まだ完全には切れていない段階で、さすがの主人公もこの辺りについてはヒロインへの疑問を感じている。
 で、主人公は指をくわえていた訳ではなく、夏休みにも帰郷せずにストーキングに勤しんで、教授とヒロインの関係が深まるのを見続けている。
 
 しかし教授が単に教え子をつまみ食いしているだけでなく、言いなりになるまで仕込んだら他の男に下げ渡したりしているのを知り、取り巻きと下卑た話をしている最中の教授を殴り、退学になってしまう。ただ、それがきっかけでヒロインの目を覚まさせて結婚にこぎ着けたりして、ここで終われば一応ハッピーエンドなのだが、ようやく半分程度。当然、それで終わったりはしない。これだけだと「妻交換」になっていないし。
 そもそもがここまではどれだけ一方的に主人公が恋焦がれたり絶望したりしようと、客観的にはただの知り合い程度、この場合は寝取られと見做して良いのかという定義の解釈も出てくる。結婚を機に、やっと狭義での寝取られる条件が整ったとも言える。

 まず結婚初夜。高いホテルのスイートを取り、記念のワインを用意してとやっていたら、ホテルで待っていたヒロインのもとに突然教授が現れ、二人して部屋へ。これまでの関係の清算について話していたので主人公は二人の前に姿を現してこじれても拙いと考えて、クローゼットに隠れて見守る事に。しかし、教授は結婚を祝福しつつも、言葉巧みに別れの前にもう一度と言い出し、ヒロインは頷いてしまう。ここで主人公が飛び出せばいいのに、その後の一部始終を見続けてしまう。そのヘタレっぷりもどうかと思うが、ヒロインがまったく理解しがたい。よりによってこの日、教授でなくてかつての恋人がとかならまだわかる気がするが、別段教授に憧れていた訳でもなし、それほど長い間関係を続けていた積み重ねがある訳でなく、感傷的になるような背景があるとはまったく思えない。それほど洗脳力が強いのだろうか。
 前の覗きの時とは、ヒロインとの関係性も変わっているし、直接見ているのが何とも酷い。
 途中、「もしも生まれ変わったら結婚しよう」とか言われて「喜んで。お待ちしています」とか平気で答えてしまうのも凄い。抱かれてじらされてじられさて「彼氏と別れるって言ったら入れてやるよ」とか、何度も絶頂させられて頭が蕩けているところに「彼よりずっといいだろ?」とか訊かれて思わず答えるのでなく、まったくの素での会話。後になって今来たように現れた主人公には黙ったまま。

 それでもともかく結婚生活が始まるが、ここでヒロインが不可解な行動を取り始める。毎週水曜日の昼間に外出をしている。不審に思う主人公だが、当然予想は当たる。教授との関係が継続していて、毎週抱かれに出掛けていたのだと判明。何度目かわからないショックを受ける主人公。
 思わず酒に逃げたところを居合わせた美女に誘惑される展開が。家に招かれると、隣から聞きなれた声が。そこには真っ最中の教授と愛する妻がいるという不条理展開。実はその美女は教授の妻で、ここから期せずしてスワッピング状態になっていって、冒頭のシーンにもつながり、タイトルである「妻交換」に辿りつくのだが、ちょっと違うような気がする。スワッピングや妻交換でなくて、結局教授夫妻が主人公夫妻を玩具にしているだけで。
 ここで、夫が他の女を抱いている姿にショックを受けるヒロインが、相当に凄い。自分は何なんだ。そしてそんな視線に興奮する主人公も何だか凄い。挙句、教授と二人で二穴挿ししたりするのだけど、妻の後ろの処女も既に奪われているあたりも、さりげなく描写されている。
 この乱交がクライマックスで、さすがに「別れましょう」と言い出すヒロインだが、「それでも愛しているんだ」とか主人公が言い、とりあえず平穏を取り戻して幕となる。どう考えても、こんな尻軽女と暮らしていたらも、この先何度も裏切られるだろう。それは主人公も自覚していて、それでもいいんだ的なまとめになってはいる。まあ本人がそれで良いなら。

 しかし、教授から見たら他にも若くて可愛い女なんてたくさんいそうだし、何でこうまでヒロインに執着するのかは謎。ホテルに行ったのも、妻が主人公を誘惑したのも、きちんと前もって調べたりしないと出来ない筈だし。
 ただ、教授視点から考えてみれば、お遊びとは言え愛人にした娘を横から来た若い男に寝取られて、挙句一方的に殴られたりした訳で、仕返しとして寝取り返してやるみたいな思いが湧いているのかもしれない。主人公に妻を抱かせてそれをヒロインに見せたのも、主人公との仲を壊そうという意図しての行動か。

 ビッチ好きでなければ、読んでいてどんどんヒロインの価値は下落していくと思うのだが、あえて弁護すると主人公にもこの展開の一因ではある。ヒロインに恋焦がれていて妻にしたのであれば欲望のままにのべつ幕無しで可愛がってやっていれば終盤の展開は無かったと思う。なまじ主人公が神聖視して、妻となってからも中出しなどはもっての他、自分のを咥えさせたり精液を飲ませたりなどは絶対にしないという淡白な性生活で、主人公としてはそれで当たり前でも、ヒロインとしては前の男二人との違いや物足りなさを感じてはいただろう。

 主人公が手出しできない状態にされ、力づく、あるいは脅迫によって、自分の女が他の男にいいようにされるというのも相当にきついが、本作ではどの場面でも、女性側が強制ではなく納得してやっているのが、よほど精神的にくるものがある。
 これほど延々と形を変えて寝取られ感覚が続くのも珍しい作品だと思う。強烈な快楽を植えつけられて、心では拒みつつも体が求めてしまうみたいな快楽調教や洗脳みたいな路線とも少し違っているし。
 寝取られ好きや、ビッチヒロイン好きには、必読の一冊だと思う。

        

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【2008/07/08 03:01】 | 柏木薫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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