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「ラブでれ」尾野けぬじ
「ラブでれ」 尾野けぬじ/冨士美コミックス

 ときどきこういう本に出会えるのでエロマンガは奥深い。
 正直、一枚絵だけでエロいと唸らせたりするような絵柄ではないし、萌え方向でも全方向にアピールはしないと思う。しかしストーリーや会話でのやり取りで登場人物を魅力的にしているし、その結果としてエロマンガとしても強くアピールしている。好みはあるだろうけど、個人的には大当たりだった。

 冒頭からの全4回の連載「それでも僕らは…」がまず上手い。少子化で人口が激減した中、対策として高校などで実習として定期的に生徒間でSEXを行う事になっている……という設定。こんな感じだと乱交とかギャグ交えてとなりやすいと思うが、その中でハートウォーミングな方向に持っていっているのが非凡だと思う。
 男子に煙たがれている堅物っぽい委員長タイプの少女の可愛さを引き出したり、好きなんだけど素直になれない少女のじれったさを描いたり。基本は愛情ではなく子供作りなのだけど、その中にあっても心のひだがあるというのを全体通したラインにしている。最後まで読むとタイトルの付けになるほどなあと思ったり。

 続きものの「トモダチ以上」「コイビト未満」も良い。くされ縁で互いに異性と意識していない二人が弾みで最後までしてしまい恋人になる話とその後。これもありがちと言えばありがちだけど、意識してしまってののやり取りとか、意地はるところとか描写が巧い。最初は男のものを目の前にして「くさッ」とか顰め面していたのが愛撫されてて無利しながらも咥えてしまうところとか、それ見てて男の方が内心ではかわいらしく思えてくるところとか。
 初めて結ばれたけど、それからお互いに望みつつも二回目にいけない状態から、「ひょっとして同じ事考えてないか? 違ってたら蹴とばしてくれていーから」とか行って踏み出すの流れとかも良かった。文章だと伝わりにくいが、あの絵と相まって、素直になれない描写とかが微笑ましい。

 他には、いつも電車で一緒になる男女の話「最終電車で会いましょう」とか、男女の性交が絶えている星から悲壮な覚悟でやってくる姫君と従者、そして二人にさらわれた男の話「宇宙こんにちわ」とか、年齢不詳で年を取らないメイドさん等。どれもレベルは高い。設定とかだとけっこう普通でなかったりするのだけど、地に足のついた感じでしっかり描いてまとめている。

 性器をぐりぐり描いて最後は断面射精描写なきゃ嫌だとか、可愛い女の子が淫語叫びまくっていろんな汁まみれにならないと認めんという人以外はぜひ読んで欲しい。
 裏表紙の紹介文に「エロと叙情の幸せな融合がここに――」とあり、少し違っている気もするけどうまく表現している。

        


テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

【2008/06/14 09:00】 | 尾野けぬじ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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