「自慰支援委員会」　西安／ワニマガジン社

　全部で１７本と、収録作品が多いだけに、総じて短い話が集められている。ロリ系の作品も多く描いている作者だが、掲載誌の為か高校生くらいのヒロインがほとんど。意外と珍しい感じがする。

　ストーリー構築に頁数を割けない関係で、手短に状況を描写してすぐにエロに行くという形になっている。さすがにキャリアが長いだけあって、どれも巧みに描かれていて、単に短めのエロ描写だけではなく、短いなりにまとめているのは巧いと感じる。

　初めて結ばれた後の恋人同士、運動部にご褒美を与えるチア部の女の子達、双子の姉妹二人を相手に等など、シチュエーションは様々。何となく全体としてどこか背徳感漂うような雰囲気になっている。それと女の子達がビッチ傾向にあるかなと感じる。
　なかでは、元のクラスメイトが着エロ、AVと出演するのというのを、主人公視点で俯瞰的に回想している作品「クラスのあのコ」、友達の母親と関係を重ねる「セフレママン」などがエロかった。「クラスのあのコ」はなまじヒロインを出して再会させたりしないのが良かった。実際の彼女がどうなのかはいっさいわからない方が効果的。美術部の先輩に弄ばれる唯一の男子部員という「にくおもちゃ生活」でも、実際には登場しない主人公の片想いの少女を巧く使っていた。

　描き下ろしなどはなく、コミックスとしての付加価値はあとがきの他、カバーを取った時の絵くらい。カラーページが３２頁もあるのは得した気分にはなる。
　実際にきっちりと描写するより、断片情報やほのめかしみたいなものからエロ妄想を膨らませられる人には非常に良い作品集だと思う。
　
　　　　　　　　

「いとこ同士」　のぞみ侑海／コアマガジン

　何年ぶりの新刊だろうか。けっこうコンスタンスに雑誌掲載はされていたのに、相当に久しぶり。
　基本的には一話完結での短編集となっていて、03年から08年までの期間に描かれた10本以上の作品が掲載されている。絵柄だけで見るとほんわかした感じのほのぼの話を描いている様だけど、意外とそういうのが少ない。絵柄だけで先入観持つといろんな意味で意表をつかれるかもしれない。ほりぼの系も全然ないわけではないし、ラストは概ね明るかったりハートウォーミングな感じになっているが。

　ページ数も影響しているのだろうけど、多人数が入り乱れての話とか、大きく動きのあるようなストーリーに凝ったものはなく、恋人、あるいは恋人未満の二人の情景や関係性の変化みたいなものを描いて話を作っている。初めて結ばれるみたいな話が少ないのは意外な特徴かもしれない。既に二人で経験済み、話によっては別れ話が出るところから始まっている。

　エロが薄そうでいて、案外濃厚。性器をぐりぐりと描いたり派手な汁描写というのは皆無で、そういう意味で判断すると極薄なのかもしれないけど、主人公とヒロインなりの関係をきちんと描いての行為なので、けっこう伝わって来るものがある。
　一週間ぶりにあってまず口で濃さを確かめるとか相当な描写のように思える。

　没コンテが幾つか掲載されているのは面白いと思う。完成品に対してのコンテも見たかった気がするが。何とか販売実績あげて、次につなげて欲しい。

　　　　　　　　
　

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「筆おろしちゃいました」　中田モデム／富士美出版

　雑誌では読んだ事無くて、コミックスで初見だったが、「お姉様＋童貞くん＋ホーケイくん」という方向性を早々に決めている辺りが強いなと思った。１０本中６本がそのパターンで、他のものも年下の女のこの初体験だけど男が包茎だったり、包茎じゃないけど年上のお姉さんから筆おろしだったりで、どれも当てはまらないのは１本だけ。
　６本の「お姉様＋童貞くん＋ホーケイくん」モノも基本骨格がそうなっているだけで、話自体は多彩。素人筆おろしもののＡＶを見て男優募集しているのに恐る恐る応募する話、女教師がオナニーするのを覗いているのを見つかりお仕置きされる話、電車で眠っているお姉さんにいたずらする話など。女性陣は基本巨乳というか爆乳。
　被ったまま亀頭と皮の間に舌を差し入れるシーンとか被ったまましごいたりと、包茎をうまく活かした描写をしていて、その手のが好きな向きにはたまらないと思う。
　売りを作ってそれに徹するというのも良いので、後はその中でバリエーションを増やしたらどうかと思う。貧乳のお姉さんとか、年上でもさほど年の離れていない関係にしたり。お姉様ではなくなってしまうが、年下で非処女の女の子に筆おろしされるパターンもけっこう需要あると思う。にったじゅんはいるけれど、もっとベクトル変えて描けるだろう。あっちはまた属性違う気がするし。

　　　　　　　　

　

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