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「兄と妹/犯された蜜獣」館淳一
「兄と妹/犯された蜜獣」 館淳一/マドンナメイト

 出版日とか見ると昭和の御世だったりするけど、今読み返してもあまり古びた感が無いのがさすが。ひとつには新本格推理小説を彷彿とさせる舞台設定・人間設定のおどろおどろしさがあるからかもしれない。普通の学園ものとかの方が恐ろしい速度で古くなったりするから。
 出版社側でつけたのか、タイトルがネタばらしになっているのはどうかと思う。カバーに書いてある粗筋なんかはさらに酷く、従妹と母でなくて妹と義母ってはっきりと書いてあるし。ともあれ、肉体的・本来的な意味での近親相姦と、精神的な意味での近親相姦との両方とで構成された作品になっている。対象は妹と母親なので館淳一作品にはよく出るゴムマリのような胸の美女とかは出てこない。

 前半で高校生の主人公は実は養子だと明かされ、実家(義父の弟)の方で跡継ぎが事故死した為に戻る事になり生活は一変してしまう。今まで母親に憧憬の念を抱いていたが血の繋がりという禁忌は無くなり、今まで叔母・従妹であった存在が母・妹となるがそう簡単には意識は変わらない。この辺りの設定はやっぱり巧い。
 で、母親だった人と擬似相姦したり、今までいとことして性的な行為をしていたのが妹だったとわかって愕然としたりするのだけど、エロ的なものが序盤に集中してしまっている印象がある。後半でもいろいろとあるのだけど、密度が薄くなったうように感じる。
 ひとつには序盤の従妹と思っていた頃の妹、麻耶とのやり取りが良すぎるのが原因だろう。透けるような白い水着で誘惑してきたり、初キスを奪ったり、思い出に裸を写真に撮りたいと言うと魅惑的な裸身をさらしたり。挙句、お互いに性器を愛撫しあって絶頂に達する描写とかが実に秀逸。次に再会した時は葬儀の場だったが、空き部屋に隠れてまたいやらしい事をしてしまう。少し大きくなった胸を弄って舌でイかせてやり、お返しにペニスを弄られ咥えられ精液を放ったりと、ここも実に良い。「今度会ったときは、ちゃんとセックスしようよ。ね……。麻耶のバージン奪って」なんて台詞に期待が膨らむが、素直に初体験に向かわず、義母にベクトルが向いてしまう。主人公の初体験も妹とではなく義母が相手。これはこれで濃厚だが、「兄と妹」ってタイトルだろうと言いたくはなる。
 実家に戻ってから、麻耶と結ばれるシーンもあるのだけど、描写が少ない。二回目以降でまだ自身の直接の絶頂はないが、兄が自分の中で果てるのに精神的な悦びを感じるところとか、「朝のホットミルク」なんて台詞、主人公が同居を始めた時に、平気で夜這いにきて手と口とで快感を与え合ったりしていたところとか、しっかりと描いてくれれば相当にエロくなったろうにと残念。

 一方の義母の方も、冒頭で自慰に耽っているシーン、いなくなってしまう「息子」に大人の女性を教えるのシーンなど濃厚。主人公が秘所について教えられながら、麻耶の幼さの残るそこと比較しているところなんかも凄く良い。ただ、一回交わってから別れの日まで何度も交わったなんてのは一行の文章ですまされてしまう。
 後半に訪ねてきた時も、続けざまに若い牡の精をしぶかせたり、プレイとして不貞を責めてスパンキングをしたりといったシーンがあったりはするけど、あっさり。

 他、実母の下着を見つけて自慰をして精液まみれにしてしまったり、それを使って母が指で慰めるのを見てしまったり、麻耶がしているレズ行為を覗いたりと、いろいろあるのだけど、やっぱり描き方が薄め。やっぱり前半の方がエロ的なボリュームは上。もっとページ数確保してみっちり描いて欲しかった。
 終盤の兄の死の秘密とかの怒涛の展開、いろんな伏線を消化して綺麗に結末をつけているのは見事だけど、エロ小説としての面白さとは少し外れるとは思う。実母との相姦話なんかもみっちり描いてもよかっただろうし。ただ、なし崩しにハーレム展開になったりしてとってつけたように終わるという話だけでなく、こういうのもたまには良いかなと思うけど。
 でも、前半読むと後半がやっぱり惜しい。
 しかし何が「犯された蜜獣」だったのだろう。

        

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

【2008/07/01 01:08】 | 館淳一 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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